浪漫ドクター キム・サブ第8話「ヒューマニズムの発露」

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ソジョンの首に鎌を突き付けてヤクザの男が手術室に入ってきた。

「動いたら首が飛ぶぞ!責任者は誰だ?」

キム・サブが答える。

「私です。ご用件は?」

ヤクザは

「今すぐ中止しないとこの女を殺すぞ!」と凄む。

フリーの麻酔医であり食堂店主ナム・ドイルが警察に電話を繋げた。ヤクザが荒れ狂い叫ぶ声が警察に届く。

手術室にヤクザが立て籠もっていることが医事課長に伝わる。

ヤクザは「3つ数えるうちに電源を切って全員下がれ!」と命令する。

ヤクザが数え終わろうとするところで動こうとするスタッフたち。

しかし、キム・サブは

「俺の指示なしに持ち場を離れるんじゃない」と止める。

そして、「手術を中止するつもりはない」と言い切る。

ヤクザは意外な展開にうろたえる。

そして、キム・サブは手術を再開する。

ヤクザは喋りだす。「そいつがどんな奴か知ってるか?その男は暴行犯だ!」

「妻と娘が居る家に上がり込んだ。11歳だった娘は暴行され人工肛門に。妊娠していた妻はショックで流産した。しかも、初犯だったから懲役3年だ。その上、2年で仮釈放された」と語る。

キム・サブは聞く。「だから、あなたが罰すると?」

「国が罰を下せないのなら、せめて俺だけでも罰を下す」

キム・サブは言った。

「話は分かりました。そうすればよい。ですが、手術が終わってからに」

納得できない男にキム・サブは諭すように言う。

「俺は裁判官じゃないから人を裁く権限はない」

男は「この女が死んでも構わないのか?」

キム・サブは、「お互いやるべきことをやるだけだ」と言い、手術を始めようとする。

男は逆上し、今にもソジョンに斬りかかろうとする。

「キム・サブの判断が正しいと信じます」看護師長の言葉で手術は再開する。

しかし、男はさらに逆上して、暴れるが、「先生どうかお願いします。どうかやめてください」と懇願する。

一切耳を貸さずに淡々と手術を続行するキム・サブ。

男はキム・サブの屹然とした姿勢に折れて、「時間をやる。30分で終わらせろ」

キム・サブは、「それは無理です。2時間はかかる手術です」と突っぱねる。

男は「30分で終わらせないと女は殺す」と言う。

キム・サブは男の様子をうかがいながら、静かな音楽をかけさせる。

そのころ、院内は避難する患者の誘導で大騒ぎだ。犯人の男の妻と娘も来ているらしい。

音楽の効果もあり、男の様子は落ち着いてきた。

折れたナイフの先端を取り出したキム・サブが患者の傷口を診て考え込む。

不審に感じるスタッフたちに「何でもない」と言い、傷口を閉じるように指示を出す。

このときスタッフに電話がかかってきた。警官から男に対してである。

包囲されていることを知った男は再度逆上する。しかしキム・サブは平然と「制限時間までまだ6分ある」と言い、手術を続ける。

逆上する男に、電話で娘が話しかける。「パパ、そこにいるの?ママと一緒なんだけど早く出てきて」

泣きながら娘の声を聞く男。手術は終わった。

キム・サブは男の傍に行って「生かすも殺すも好きにすればいい。この患者は脊髄を損傷しているから、一生歩けないし、用もたせない。そんなヤツのために殺人犯になるというなら仕方ない。ただし、その代償に多くのものを失うだろう」

(キム・サブは完治できる手術を中断してしまった。それが被害を防ぐ最善の方策であり、男の罪を軽くする策であることを瞬時に判断したのだろう)

キム・サブはスタッフたちに命令した。「全員外へ出ろ!」

「あなたの選択によって家族を失わないことを願っている」キム・サブはそう言い残して手術室を出た。

手術室に残った男は、手術台に横たわる憎き相手に手をかけることができず、泣きながら崩れ落ちた。

警官に連れられて出てきた男は、妻と娘と涙で抱き合う。

それを見守る手術スタッフたち。(恐怖に陥れられた男と家族の涙の愛撫をどう感じる?)

男を乗せたパトカーが走り去るのを見てドンジュとソジョンが会話する。

ソジョン「あの状況で平常心を保てるキム・サブは凄いわね」

ドンジュ「筋金入りの医師か、筋金入りのバカか」

院長室では、キム・サブの対応に問題があったと外科科長ソン・ヒョンチョルが批判する。しかし、キム・サブや麻酔医ナム・ドイルから逆に軽くあしらわれる。院長のヨ・ウニョンもその様子を見てニンマリ。(このように緩急が交互に繰り返されるのでホッとする)

受付のところでは、医事課長チャン・ギテが看護師長オ・ミョンシムと話している。どうやら二人は元夫婦で離婚したらしい。(おやおや〜この先どうなるのかな?面白そう(笑))

ソジョンがキム・サブと廊下でバッタリ。ソジョンが言う。「先生、大変だったでしょう?」キム・サブが答える。「いちばん大変な思いをしたのはお前だろ。間抜けなヤツめ。EM(救急専門医)がオーダリーを引き受けたりして」

「先生が指示したので」

「俺が死ねと言ったら死ぬのか?PTSD(心的外傷後ストレス障害)が再発したら追い出されるぞ」

(キム・サブはソジョンのことを心配していたんだね。そして、医師としての信念を持って欲しかったんだ)

二人の会話を物陰で盗み聞きするいやらしいコサンの女看護師(イヤだね~)

フリーの麻酔医ナム・ドイルが経営する食堂で、看護師長オ・ミョンシムと二人が話している。

看護師長が深刻な表情で、先ほどのキム・サブの手術の様子がおかしいと言うのだ。そのころ、助手を務めたインボムも同じことを考えていた。

キム・サブが情に流されて、暴行犯の手術の手を抜いたかもしれないと考えているのだ。オ・ミョンシムも男の話を聞いて手術をやめたいと思ったそうだ。

ところで、手術のあと、キム・サブは男の妻と娘に会って約束をした。娘のアリンの耳元で「おじさんが手術をして治してあげよう。無料で」

それを聞いて泣きむせぶ妻。

ベッドに横たわる手術後の暴行犯のそばで、そのことを思い出しながら、「これでいいんだ」とつぶやくキム・サブ。

(原則主義で生きてきたキム・サブが情で主義を変えた瞬間である)

この日当直のキム・サブにドンジュが話しかける。

「ソジョンが人質になってたのに冷静でしたね?」

キム・サブは「冷静なわけないだろう。全員助かる方法を必死に探っていたんだ。いわゆるハッタリだな」

そして笑いながら言う。

「もっと美しい言葉で言えば浪漫だ」

ドンジュが笑いながら聞く。「先生にも浪漫が?」

「浪漫を取ったら死人も同然だ」

このやり取りの中でキム・サブはドンジュの気に入らない点を指摘する。

「マイナス思考と被害者意識が気に入らないだけだ」

「働き方を知ってても働く意味を知らなきゃ医師として価値がない」

この言葉にドンジュは考え込む。キム・サブはこのあと、患者用のベッドに潜り込むのであった。

交通事故患者搬送の連絡が入った。担当者がキム・サブを起こそうとすると、ドンジュが「自分が対応するから起こさないで」と静止した。

キム・サブがベッドでニヤリと笑う。ドンジュの気持ちがキム・サブに傾いたからだ。

ソジョンはドンジュの誤解を解くために、必死について回る。

ソジョンの父はコサン病院院長(ドンジュの父)ではないと言いたいのだ。ドンジュにDNA鑑定するか?と聞かれたソジョンは了解する。(さて、真相はどうなんだろう?話が面白い方向に展開しそう(笑))

院長室では、事件となった刺傷患者の手術に関して、キム・サブの責任追及が始まった。

コサン大学病院監査がキム・サブに言う。「患者を危険にさらしたのではないか?」

さらに「PTSDの医師がいるのでは?」ソジョンのことである。

そのことをキム・サブが把握していたのではないか?と言うのだ。キム・サブを貶めようとしている。

監査の質問にキム・サブは、「ト・ユンワンの目的は何か?俺か?病院か?両方か?」

一方、ソジョンやキム・サブの監査に危機を感じたドンジュは、医事課長に理事長の連絡先を聞き出す。

ソジョンは精神鑑定を受けている。

「手首の怪我をしたそうですね?どんな事故でしたか?」精神鑑定医から質問を受けるソジョンは精神安定剤を多量に摂取したことを告白する。

精神鑑定医はソジョンがコサン病院から行方をくらました事情に同情しているらしい。慎重に答えるように促す。

ソジョンは答える。「その場しのぎの嘘はつきたくありません。これでも医師ですから」

一方、キム・サブは監査に対して、答えることを拒否する。監査が言う。「プ先生の医療行為を禁じます」

(何と憎ったらしい監査の顔(笑))

キム・サブが憤然として部屋を出ると、そこには車椅子に乗った財団の理事長がやって来た。

「キム・サブやって来たぞ。入院を勧めただろ」

驚くキム・サブ。ドンジュが言う。

「先生のご指示通り会長にお伝えしました」

してやったりという表情のドンジュ。

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